2012年3月2日金曜日

九二神雕侠侣之痴心情长剑(神鳥聖剣) 1992|お笑い刘德华(アンディ・ラウ)が贈る究極の駄作



刘德华(アンディ・ラウ)は自分で映画会社を作り、その第一作目として 《91神雕侠侣(神鳥伝説)》 1991 を発表します。この映画はまずまずの成功をおさめ、その翌年に作ったのが

92神雕侠侣之痴心情长剑》1992

ということになります。どちらも、日本で公開されたかDVDが発売されているようで、日本のWebにもあれこれ情報があることでしょう(《91神雕侠侣》 の日本語タイトルは 《神鳥伝説》、《痴心情长剑》 は 《神鳥聖剣》)。

なんで 《神雕侠侣》 なのかというと、刘德华はテレビドラマ 《神雕侠侣》 1983 で超有名になったからです。

《91神雕侠侣》 は、王家卫と刘镇伟がシナリオを担当するという豪華版でした。刘德华が 《92神雕侠侣》 を作るにあたって、王家卫と刘镇伟に声をかけたかどうかはわかりません。

でも、たぶん当時、王家卫は 《东邪西毒》 、刘镇伟は 《92黑玫瑰对黑玫瑰》 にとりかかっていたはずだと思うので、この映画のシナリオに協力する時間などなかったことでしょう。

刘镇伟の 《92黑玫瑰对黑玫瑰》 の92とは、もちろん 《92神雕侠侣》 を受けてのものでしょう。《黑玫瑰对黑玫瑰》 という映画はありませんが、《黑玫瑰与黑玫瑰》 1966 という映画の92年版という意味でしょう。

監督は引き続き元奎(共同監督:黎大炜)で、シナリオは、陈嘉上、叶广俭、陈建忠の3人が担当しています(資料によってまちまちなので、正確な情報ではないかもしれません)。

シナリオ執筆に参加している陈嘉上という人が曲者です。この人は1988年に監督デビューして、周星驰の 《逃学威龙》 1991 でヒットを飛ばしています。

刘德华は 《91神雕侠侣》 の好評に気を良くしていたことでしょう。また、当時の周星驰人気も気になっていたことでしょう。《92神雕侠侣》 では、おバカなお笑いに挑戦するために、陈嘉上をシナリオ執筆に参加させたように思います。

ただし、陈嘉上は基本的にはアイデアを出しただけで、他の二人が実際のシナリオを書いたように思います。なんでかというと、この映画では陈嘉上らしさというか臭さが、ずいぶんとやわらいでいるからです。

この年(1992年)、陈嘉上は 《武状元苏乞儿》 を発表しています。この映画を見るとよくわかるのですが、陈嘉上という人は、はんぱ(無駄)な要素を映画の中に持ち込んでしまいます。

中国人も日本人も勘違いして、 《武状元苏乞儿》 という映画はお笑いでありながら、カンフーの迫力や人情味も取り入れ……とか書いてしまうわけです。

最近の陈嘉上の映画は、このブログではこんなのを見ています。

画皮 2008 -- 周迅 ・ 赵薇 vs 孙俪
画壁 2011 (1) --スン・リー+ダン・チャオ
四大名捕 2012 -- 刘亦菲、邓超に恋する

特に 《画壁》 2011 は、もっともっと笑える映画にできたように思います。そろそろ(今、2013年5月末)3部作の2つ目である 《四大名捕2》 の消息が聞こえてきてもいいはずですが、まだ、多くの情報はありません。

さて、《92神雕侠侣》 は、単純なおバカに徹する努力をしていますが、明らかに失敗しています。それはそうなのですが、あまりにくだらないので、けっこう笑えてしまいます。

どこがどうくだらないのか--それは映画を見て笑ってください。刘德华ファンにとっては、最愛の(あるいは屈辱の)永久保存版だと思います。刘德华が主導してしまうと、ついついお家族向けに走ってしまうことも、よくわかります。

無理やりこじつければ、この映画は陈嘉上の 《画皮》 とは関係のない 《画皮2》、あるいは 《新笑傲江湖 2013》 の序章であるとか言えるわけですが、黙っておきましょう。ただし、刘德华に恋してしまう生命终站ホテルのおかみルビー小姐(关淑怡)はかわいいと思います。

監督の元奎という人は、監督、アクション監督、プロデューサー、役者など、なんでもこなしてしまう人です。元奎は、刘镇伟の良きお友達です。刘镇伟も自分の映画に出るのは好きなのですが、あくまでチョイ役に踏みとどまっています。でも、元奎は主役級の役を堂々と演じてしまいます。この映画では、博士が元奎です。

Saviour Of The Soul 2 九二神鵰之痴心情長劍

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